2018/11

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

<< >>


  地震から3ヶ月。
 まだ厳しい生活を続けられる方々が多くいらっしゃいます。
 直接のお手伝いが出来ずにいるもどかしさを抱えながら
自分の出来る事を少し始めます。
 杜の都の「うつわのチカラのわ」。
 こちらに関しては、取り急ぎは、
うつわのチカラのわ」HPおよび、
うつわの連絡帖」ブログ
で、お伝えするとして、こちらでは「生活工芸」の話。

__________________________

 6/11、福島に向った。
 この祭りを知ってから、何年も逃したまつり『工人まつり』に向うため。
「工人」とは何か?三島町のHPによると

「三島町ではものづくりする人のことを工人(こうじん)と呼んでいます」

とある。
 特に『編組(かご類)』に特化しているという。
 このまつりには全国から籠好きが集まる、という。
 さらに、ここに行くには『只見線』に乗らなくては行けない。
 いや、「只見線に乗れる」のだ。
 JRの青春18切符の広告に数年前に使われて以来のあこがれの地だ。
 ただし、非常に列車が少ない。
 会津若松出発が5時台、7時台、その次がなんと13時台。
 
 だったら5時台…ということで5:59の会津若松発の列車に乗ったのだが
早起きは三文の得だった。
 朝もやの中の景色は、写真ではとてもじゃないけど、再現できない。
 空気が違う。緑が濃い。福島県がいかに豊かな土地であるか…を体感した。


 そして、会場。まつりの会場は『三島町生活工芸館』周辺。
 ここに150もの「工人」が集まる。
 籠だけではなく、木工や陶器も混ざっているが、とにかく
手作り感が溢れている。テントに手書の看板。
ほっぺたの赤いおばあさんやおじいさんが「わしがつくったんだよ」
…と言いながら、売っている。一見すると同じような籠に見えるが
人によって丁寧さが違う。性格や技量、素材の処理などの違い、
形はほとんど違わないが、仕上りが違う。ただし値段はほぼ皆
横並び。通い慣れているお客は、ひいきのテントに直行して買い物をして行く。

 この「三島町」のモノづくりの歴史は、千葉大名誉教授の宮崎清先生の
30年前の訪問から始まる、という。一度、宮崎先生の一般を対象にした
講義を聴いたが、この小さな町に来て、町の住民が籠編みを得意とする、
ならば、籠編みを売りにしよう…と発案した宮崎先生と、それを信じて
進んでいった住民達は素晴らしいと思う。
 最近、コミュニティーデザイナーの「山崎亮」さんが「情熱大陸」で
村おこしの手法として取っていたやりかたを、30年前に始めているのだ。
 自分たちの「日常」が、財産」である、ということを知った時
さぞやびっくりしただろう。
 長老に聞いたところ、自分たちの道具としてだけでなく、
年始の挨拶がわりに、お医者さんなどに、笊・籠は使っていたらしい。

 活動が実り「三島生活工芸館」という建物が出来た。
 この建物はしっかり使われている。
 長老達が編み講座などを定期的に開いてモノづくりを伝えている。
 これが1回きりの講座ではなく、本気モードの7回連続講座などなのだ。
 教え、教えられ、人が通い、町が活気づき、技術が伝わる。
 「最初は大変だったんだよ」と長老は言っていたが、粘り勝ちしたようだ。
 
 われわれのような商売をしている人に取って、籠編はつくり手が
見つけにくい。何故かというと、多くの地域が専業ではなく、農閑期などに
小遣い稼ぎという感じで作り、それを地域のまとめ役が買い、売ることが
多いからだ。片手間仕事といっても、毎年やっていればプロだ。
日本のものづくりの底力は「半農半工」であったのだ。
 
 ついつい「専業のモノづくり」=プロ。と思いがちだが、日本の
モノづくりは多様だ。編組のように効率化をしにくい作業はこれからも
「半農半工」が主流なのかもしれない。

 そして「生活工芸」という言葉。
 「生活工芸」は「生活の中に寄り添う工芸」として使っていたが
三島町の「生活工芸」は「生活の中に息づく工芸」であることを知った。
彼らの持っていた技術を活かし、見事に成功した証しに、本当に
みんな楽しそうにまつりに参加していた。
 ちょっといじわるな質問を長老に投げかけた。
「喧嘩などなかったんですか?」と聞いたけど笑って首を横に振っていた。


 さらにもう一つ考えさせられたのは「デザインってなんなのだろう」
ということだった。もう25回目というのに、まったくの手作りの
まつりだった。看板もチラシも。緑の木の中でのまつりにはそれが
似合っていた。…というか、その(わるい良い方をすると)やぼったい
看板の中で、本当の腕のいい職人の籠を見つけられるか…と
挑戦状を叩き付けられた思いだ。
(もっとも、緑と木の葉の敷かれた地面を歩くのが気持ち良くて、
いつしか、その挑戦状はどこかに忘れて楽しく会場を歩いていたのだが)


 少しの予備知識と、短い滞在時間の中で感想を述べるのは限界があるので
余計な感想は述べるまい。

 『会津若松発5:59の只見線に乗った風景』はお薦めです。

 百聞は一見にしかず。
 まつりも只見線も楽しめるはずです。






comment









trackback